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初倖(うゆき)がお送りする 独り言ブログ。 /「なづゆき」「帝雅」って名前も使ってる/ 大した事は書けませんが 基本的に日常的な記事が無ければ 詩や小説、論などを記しています。 ペットのことや、その日あったことも書けたらなあ。 読んでくださるっていう方は 是非ともコメントお願いします。 ツイッター 本垢  @_other_world_ コス垢 @nadu_cos
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「ねえ、ねえ訊いていい?」
 唐突に声を上げる少女。
「ねえ、ねえ君は、そんなところで何をしているの?」
 にこにこと笑いながら言う。
「ねえ、ねえ答えてよ」
「……別に、何も」
「ねえ、ねえそれ嘘でしょ? 言ってよ、ほんとのこと。桜を見てましたって。春を感じてましたって。あら、あら嘘なんて悪い口。本当は恐怖してましたって言ってよ」
 しつこく喋る少女。
 いまは風も何もなくて、少女の声は響く。
 数少ない通行人が少女を怪奇の目で見ているのがわかる。
「そう、そういつも見てる。いつも見てた。気になっちゃった」
「気にしなければいいのに」
「急に現れた君は。ずっとその桜を見て」
 舞い散る桜の花びらの下、くるくると回って遊ぶ。
「もの悲しそうな顔をするの」
「……そんな顔してるかな」
「してる、してるわ」
「何があるの? その桜」
「知らないよ」
「ううん、ううん知ってる。死ってるんでしょ?」
 ぴたりと止まった少女は不意に怪しい笑みを浮かべた。
「知ってる、知ってるの。だってこれで六人目。あなたで六人目。この桜の下で眠るひと」
「……え」
「ふふ、ふふ、ふふ、あはっ。桜の養分となって、綺麗に咲いてね。綺麗な色に咲いてね」
「死、……?」
「ああ、ああ君は気付いていないの? 君は死んでるの、とっくの昔に、私のために」
 人の少ない小さな村。…の、小さな庭。…に、大きく咲く桜の木。
「私の桜、私の桜。綺麗に咲かせて頂戴ね。じゃないと、君、ずうっと、……」
 ぴっとりと桜の太い幹に縋り付く。
「だぁいすきなこの子のために、こぉんなに栄養を集めたの。…さ、君も眠りなさい。永遠に目覚めない眠り」
 ぴっと少女が死者に手を伸ばすと、ふっと消える。
「ふふ、ふふ。だいすき、だぁいすき、だぁぁいぃすきぃぃ。それだけじゃ足りないくらい、愛してるの」
 ざわ、とゆらめく桜の木。
 それは永久の呪縛。
「ありがとう、黒。これでまた美しく咲く」
「白…貴女のためなら、何でも」
「ふふ、黒、君も好きよ。桃ほどじゃないけど」
 少女とそっくりの少年が、いつの間にか後ろに立つ。
「桃、桃……」
「大丈夫、桃も貴女を愛してる。だから、こんなに綺麗に咲いてるんだよ?」
 つ…と指で花を撫でる。
「そうね、桜になった桃。アナタがどんな姿でも、大好き」
「はは、白ったら、どんな姿でも…って、貴女が桃を桜にしたんじゃないか」
 くるりと振り向いた少女は、嫌なほど気持ち悪く笑っていた。
「だって…桃が悪いんじゃない? 私はこんなに大好きなのに、他の…しかも男なんかと、恋仲になるなんて。私以外を見ちゃいけないの。私以外が見ちゃいけないの。桃は私のもの。……私の影である黒は、いいのよ? 黒はいい子だもの。黒は私から桃を取らないでしょう?」
「そうだよ。僕は白の大切な桃を取らない。だから白も、僕から離れないでね? 同じ腹から、同じときに生まれた、唯一の双子なんだから」
「ふふ、ふふ黒。私が君から離れるなんてないわ。どこにいてもわかるくらいに」
 少女――白が、少年――黒に口付けをする。
「いいの。世界には私たち三人姉妹弟(きょうだい)しかいらないの。桃は…(わたし)に大切にされて、幸せ者ね」
「そうだね。じゃあ双子(しろ)双子(くろ)に大切にされて幸せ?」
「ええ、ええ。とても幸せ。三人で仲良く暮らせて幸せよ。桃の栄養になってしまったひとたちは…カウントしなくてもいいわよね?」
「要らないだろう?」
「さっき現れた魂は、もう食べられちゃったかしら」
「どうしたの? 他を気にするなんて珍しいね」
 黒が白に、後ろからそっと抱きつく。
「いいえ、いいえ何でもないわ。さっきの魂は、ずっと表に出ていて…とても未練がましくて、なかなか食べられなかったから」
「あは、確かにしぶとかったね。僕が捕まえてきてから、随分経つ」
 白の手に手を重ねて、黒は囁く。
「僕も、例え白がどんな姿になっても愛してる。白が嫌がっても、どんなことしてでも僕の前に居させるよ」
「私も、桃の長くて綺麗な茶色の髪が見れなくたって、言葉を掛けてくれなくたって、愛してるもの。黒の気持ち、わかる。でも私が黒を嫌がるなんてないわ」
「白が死んじゃって、天国に行こうとしたら引き止めちゃうかも」
「天国なんて行かないわ」
「僕が白を殺しても? 僕から離れない?」
「ふふ、ふふ黒が私を殺すの? いいわ。そうしたら、桜の横に埋めて、いっぱいの百合を咲かせてね。綺麗にいられるようにしてね」
 くすくすと笑って、冗談とは思えない口調で言い合うふたり。
「じゃあ、僕が死んじゃったら?」
「そんなの、許さないわ」
「わからないじゃん。どうするの?」
「そうね、そしたら…桜の向かいに埋めて、一面に薔薇を咲かせてあげるわ」
「ありがとう」
 白の長い髪を、指に絡める。そのまま髪にキスを落として、まっすぐ互いに見つめ合った。
 
 
 
――ああ、恐ろしいこと
――本当に、あの桜
――春だけじゃなく冬になっても咲き続けてるなんて
――しかもそれも、ずうっと長い間
――わたしが物心ついたときからずっと
――そういえば、ときどきいる女の子…
――男の子もいるけど
――あの家の子らしいけど…
――ちっとも成長してないわよ
――ああ、恐ろしいこと
 
 
 
村の人々は口々に言う。
 あの桜には近づくなと。
 怪しく咲く桜が、ひとの生気を奪うと。
 だが、この村で、行方がわからなくなったという人の話はない。
 桜の下に埋まる人の家族は、まるでその人が最初から居なかったかのように過ごす。
 大切な人間が消えたことにも気付かず、彼らは残酷に過ごしていく。




―――――


これは部活に提出した最近の小説。
最近……の俺、病んでるね。

 
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うだうだしてます。
腐女子ですよ。
テンションの高い人、又はノリの良いひととなら気軽に絡めます。

コスプレ活動しつつ社会人で(逆)気ままに過ごしてます。
趣味で小説を書き詩を書き絵を描く。
Pixivに生息してます。



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