忍者ブログ
初倖(うゆき)がお送りする 独り言ブログ。 /「なづゆき」「帝雅」って名前も使ってる/ 大した事は書けませんが 基本的に日常的な記事が無ければ 詩や小説、論などを記しています。 ペットのことや、その日あったことも書けたらなあ。 読んでくださるっていう方は 是非ともコメントお願いします。 ツイッター 本垢  @_other_world_ コス垢 @nadu_cos
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「言わないなら何も信じられないな。まあ、それはおいといて。遅れたけど、僕は紅輝-コウキ-って言うんだ。君は?」
「・・・・・・私に名前なんて無いわ」
「そんなはずないでしょ」
「事実よ。あっても無意味」
 少女は自分の両掌を見つめた。
「どうせ死ぬのだもの」
「・・・・・・・・・」
 紅輝は溜息を吐いた。そしてよしっと意気込む。
 少女が何だろうと首を傾げると指を差した。

「君の名前は蒼希-ソウキ-!」

「・・・は?」
「僕はあかだから、君はあおだよ。いいね、兄妹が出来たみたいだ」
 勝手に蒼希と名づけられた少女は唖然とする。
 言葉すら紡げず、口をぱくぱくと開閉させる。
「宜しくね、蒼希」
「・・・・・・っ。だから、私はどちらにせよすぐに死ぬのだから・・・・・・」

「あるところに、ひとりの女の子がいました」

 蒼希の声を遮って、紅輝は切り出した。
「その女の子は生まれたときから体が弱く、病気をわずらっていました」
「な・・・なに・・・?」
「あるとき、ひとりの男の子と出会いました。ふたりはすぐに仲良くなって遊びました」
 紅輝が蒼希の隣に座る。
「でも、そんな時間は長くは続きませんでした」
 何を見るわけでもない。
 紅輝はただ天井を見上げながら言うだけだ。
「女の子の容態は悪化するばかりです。あるとき、衰弱した女の子は言いました。」

『きっとね、生あるものはそれぞれの宿命を負って生まれてきたの』

『その宿命を果たして、生きた証を残して・・・ううん、誰に知られなくてもいい』

『それをいま証明するために、名前ってあると思うの』

『あなたの名前は素敵ね』

『だって、紅く、輝いているんでしょう? 生の印ね』

「女の子は最後の最期まで笑っていました。・・・果たして、彼女の宿命とは何だったのでしょう・・・・・・?」
「何・・・って・・・」
「その子は最期まで・・・死にたいとも生きたいとも言わなかったよ」
 ただ・・・・・・さいごまで幸せそうだった。
「・・・・・・宿命があるとしたら、私の宿命は自らが死んで世を救うことね」
「死ぬのは宿命じゃないよ。愚行だ」
「・・・では、殺されること、かしら?」
「それも一緒だろ!」
 蒼希がふうと息を吐く。
「・・・教えてあげるわ。・・・禍」
「え?」
「死者の国と生者の国が繋がってしまうことよ」
 天国、地獄と名称される世界――死者の国。
 今、この全てが生きている世界――生者の国。
 繋がってしまうと、生者は死者に飲み込まれる。死者はもともと死者でしかないから、生者は勝つことは出来ない。
「・・・なんで?」
「だから」
 紅輝の問いかけに、蒼希が更に説明しようとしたとき。

参加してます!↓ぽちっと! ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

拍手

PR
Comment
Name
Title
Mail
URL
Color
Emoji Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Comment
Pass   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧
Trackback
トラックバックURL:
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
最新コメント
[01/29 かりんとう]
[11/07 あきえ]
[04/07 ざき]
[03/27 ざき]
[11/28 カワウチョ]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
初倖
性別:
女性
職業:
ニートじゃないよ!
趣味:
絵描き、物書き、カラオケ、コスプレ
自己紹介:
うだうだしてます。
腐女子ですよ。
テンションの高い人、又はノリの良いひととなら気軽に絡めます。

コスプレ活動しつつ社会人で(逆)気ままに過ごしてます。
趣味で小説を書き詩を書き絵を描く。
Pixivに生息してます。



相互リンクはいつでも募集中。
バーコード
ブログ内検索
カウンター
カウンター
Copyright ©  -- もきゅもきゅすんぞ! --  All Rights Reserved
Designed by CriCri Material by 妙の宴
忍者ブログ  /  [PR]